東京の寿司職人が岐阜の実家に帰ったら、母が銀杏ビジネスを始めていた話

皆さん、こんにちは!鮨畑です。

先日、岐阜県の実家に帰省したんですが、母がダンボール箱いっぱいの銀杏を見せてきました。

「これ、拾ってきたの。朝市で売るんだよ」

…お母さん、たくましすぎない?

袋には「200g」とか手書きのラベルが貼ってあって、完全にビジネスモードです。しかも聞けば、銀杏だけじゃなく、柿やキウイも友達や近所の人からもらって売っているらしい。

ちょっと待って。それ、仕入れコストほぼゼロってこと?

私が東京で築地に通って魚を仕入れている間、母は恵那市明智町で「拾う」「もらう」という最強の仕入れ術を駆使していた。ビジネスモデルとして完成されすぎている。息子として、なんか負けてる気がする。

銀杏と寿司職人の意外な接点

「銀杏と寿司、関係なくない?」と思った方、甘いです。

茶碗蒸し、ご存知ですよね?

寿司屋で出てくるあの黄金色の蒸し物。ぷるぷるの卵の中に沈んでいる、あのホクホクした黄色い粒。そう、銀杏です。

実は茶碗蒸しは、江戸前寿司のコースにおいて重要な脇役なんです。寿司の合間に温かい茶碗蒸しを挟むことで、口の中がリセットされ、次のネタをより美味しく感じられる。その茶碗蒸しの主役級の存在感を放っているのが銀杏なわけです。

つまり、母は知らず知らずのうちに寿司文化を支えていたということになります。(こじつけ)

…ただし、私の出張寿司では茶碗蒸しは出せません。設備的に無理。すみません。せっかく話を繋げたのに、ここで途切れます。

「旬を届ける」という共通点

とはいえ、母のやっていることと私の仕事には共通点があるなと思うんです。

母は山で銀杏を拾い、近所から柿やキウイをもらい、それを朝市で売る。私は市場で魚を選び、それを寿司にしてお客様に届ける。

形は違えど、「旬のものを見極めて届ける」という点では同じなんですよね。

…いや、ちょっとカッコつけすぎました。

正直に言うと、仕入れゼロ円で商売している母を見て、「え、利益率えぐくない?」と思った自分がいます。息子として、純粋にビジネスの才能に嫉妬しています。

恵那市明智町という場所

母が住んでいる恵那市明智町は、「日本大正村」として知られる、大正ロマンあふれる町です。先日訪れた下呂温泉からも車で1時間ほど。岐阜県の東濃地方は、山の幸が豊富な場所なんです。

こういう環境で育ったからこそ、「もらう」「拾う」という発想が自然と身についたんでしょうね。私も5年間岐阜で有機農家をやっていたので、その感覚は分かります。

東京にいると忘れがちですが、食べ物って本来、こうやって土地の恵みとして存在しているものなんですよね。

母のビジネスから学んだこと

仕入れは安ければ安いほど良い(当たり前)

人間関係が最高の仕入れルートになる(近所付き合い大事)

「拾う」という選択肢を忘れるな(東京では難しいけど)

…最後のは寿司職人として使える場面がないですが、心に留めておきます。


結論:銀杏を拾い、柿とキウイをもらって売る母。仕入れコストゼロの最強ビジネス。息子は東京で普通に魚を買っている。完敗。


おまけ:実家でくつろぐ猫様たち

ちなみに、帰省中の我が家の猫たちの様子がこちらです。

ストーブの前で完全に溶けている。

 

東京から連れてきた猫たちなんですが、実家のストーブの暖かさを知ってしまったら最後、もう動きません。茶トラ、白猫、ハチワレ…みんな揃ってストーブに向かって並んでいる姿は、まるで何かを崇拝しているようにも見える。

ストーブ教の信者たち。

ちなみに母のところへ行ったのは1匹だけ。残りは全員ストーブを選んだ。

お母さん、猫たちに負けてるよ…。いや、違う、ストーブが強すぎるんだ。うん、そういうことにしておこう。

母は銀杏を拾って朝市で売り、猫たちはストーブの前で修行している。そして息子の私は、東京に帰って寿司を握る。

なんだこの家族構成。

でもまあ、こうやって実家でのんびりできる時間があるのは幸せなことですね。実家には小さいながらも中庭があって、天気のいい日には猫たちがそこで日向ぼっこをしています。東京のマンションでは味わえない贅沢ですね。

さて、私も東京に戻って寿司を握る仕事に戻ります。猫たちはもう少し実家で母と一緒に過ごす予定です。

…帰りたくなさそうな顔してるけど、君たち、ちゃんと東京に帰るからね?


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